新型コロナウイルスの脅威に関して、いまだ先行きが見えない状況で長期的な対応が予想される中、日本国内では令和2年3月2日から政府の要請により全国の一斉臨時休業が行われました。その後の春季休業を経て、4月7日に政府の緊急事態宣言が行われたことや4月16日に全都道府県が緊急事態措置の対象となったこと等を受け、大部分の学校が5月末まで臨時休校となりました。
学校においては「3つの密(密閉・密集・密接)」の回避、「人との間隔が十分とれない場合のマスクの着用」及び「手洗いなどの手指衛生」など基本的な感染対策を継続する「新しい生活様式」を導入しています。また、地域の感染状況を踏まえ、学習内容や活動内容を工夫しながら可能な限り授業や部活動、各種行事等の教育活動を継続し、子供たちの健やかな学びを保障していくことが求められています。
学校は感染症に対してどのように予防や対策を進めていけば良いのでしょうか。
各学校で具体的に実践されている工夫例とともに、感染症の予防、対策についてご紹介します。
 

目次

 
1新型コロナウイルスによって学校が受けている影響
2学校生活においてどのような感染症対策を取るのが良いのか
3保護者と学校の情報共有連絡のデジタル化
4まとめ

 

 

新型コロナウイルスによって学校が受けている影響

 
新型コロナウイルスの感染拡大は、人々がそれまでは当たり前だと思っていた「日常」を大幅に見直さなくてはならない事態を引き起こしました。
教育現場においては、学校に児童・生徒が来て授業が行われるという日常が失われ、児童・生徒が目の前にいなくても教育活動を行わなくてはいけないという前代未聞の事態に直面したのです。
コロナ禍で学校が受けた一番のダメージは、長期の休校で予定通り教育を行うことができずに学習の遅れが出てしまったこと。さらには3密を避けるといった新しい生活様式に対応するために教え方を変えたり、検温などの健康観察や消毒を行ったりといった新たな業務が一気に発生したことが挙げられます。
 
そして、入学式や卒業式といった大きな行事、放課後の部活動や課外活動、遠足や修学旅行、運動会や体育祭、音楽会などの行事など児童・生徒たちのコミュニティといった学校の思い出として真っ先に思い浮かぶものが延期や中止となりました。
こういった学校内外の行事や体験活動には、児童・生徒らの目標を達成するために自分の感情をコントロールする力や、自分を客観視する力などを育む効果があります。
学校行事というと多くの方は本番だけを思い浮かべますが、実際には準備の時間を含んでいます。
児童・生徒らは準備を進めながら友達と対話をしたり、学級全体で話し合いの場を設けたりして、時にはぶつかり合ったりもします。そんな関わり合いを持つことで、みんなで何かをつくり上げ、自分や誰かの為になるように考える機会も多くなります。
また、それらの経験を通じて自己肯定感や社会に積極的に参加したいという気持ちを持つようになります。その為、学校行事がなくなってしまうことで、そのような機会が損なわれてしまうことが危惧されています。
 
そして、高校3年生、大学4年生らが就職活動に力を入れる時期には、新型コロナウイルス発生により景気の状態は多くの業界でマイナスとなり、厳しい就職活動を余儀なくされました。
大手航空会社などが新卒採用休止を相次いで発表し、リーマンショックから年々就職活動をする学生にとって有利な状況が続く売り手市場に傾きかけていた採用も、採用人数を大幅に削減されるなど厳しい状況となりました。
 
しかしながら、新型コロナウイルス感染防止の観点から、多くの企業でオンラインでの企業説明会・採用試験などを取り入れることで、就職活動における様式も大きく変化しました。
地方に住んでいる学生にとっては、自宅にいながらオンライン面接などを受けられることから、交通費や宿泊費の出費が大幅に削減される点は、一つのメリットになったのかもしれません。

 

学校生活においてどのような感染症対策を取るのが良いのか

 

登校時の健康状態の把握

学校は、児童・生徒に対して毎朝自宅で検温するようにし、健康観察票などを提出してもらうようにします。また、オンライン等を活用し、健康観察票記載の項目について登校前に予め回答してもらうよう周知徹底します。
【健康観察の一例】
・登校時、昇降口が混雑しないよう校庭などに学年別に距離を置いて待機させ、順番に教室に向かわせる
・昇降口の近くにサーモグラフィを設置し、登校する児童・生徒の検温を実施する
体温が高い児童・生徒を早期発見し、感染症の拡大防止を図る
 

マスクの着用

教職員、児童・生徒は基本的に常時マスクの着用は望ましいと考えられます。
ただし、体育の授業などのほか、児童・生徒が息苦しさを感じたとき、熱中症の危険性があるときなどは例外的にマスクを外した方が良いと言われています。
このように、事情があってマスクをはずすときには、児童・生徒同士の距離をとるように注意しましょう。
現在では人との距離が確保できる場合や、人との距離が確保できなくても会話をほとんど行わない場合などはマスクの着用の必要はないとされています。
 

 
【引用元:厚生労働省ホームページ マスクの着用について
 

分散登校・時差登校

「分散登校」とはコロナ対策として、学校に通う児童・生徒の人数を制限する取り組みです。
密にならない状況で授業を受けられるように従来のクラス人数を半分程度に抑えて感染を防ぐ術となっています。
また、通勤・通学ラッシュの時間帯を避けて登下校の時間を設定する時差登校などの工夫をしている教育機関もあります。
臨時休校などの措置をとった場合でも、自主登校日を設定するなどして登校の機会を設けることが大切です。
 

感染経路を絶つ

手洗い、咳エチケット、消毒の徹底が感染経路を絶つ最善策です。
消毒ができるものはすべて使用前に消毒をし、児童・生徒間で極力使いまわしをしないようにすることも重要です。
そのほか、手軽に密を防ぐ方法として換気の徹底も大切です。
換気は、常時2方向以上の窓を開けて行います。困難な場合は30分に1回、または数分間程度でも大丈夫です。
窓がない部屋の場合は、出入り口を開放することや人の密度が高くならないことを意識するようにしましょう。
また、体育館のような天井の高い場所や、エアコン使用時にも換気は必要です。
エアコンは室内の空気を循環しているのみで、室内の空気と外気の入れ替えを行っていないことから、エアコン使用時の換気も重要です。
正しい知識のもと換気を徹底するようにしましょう。
 

ソーシャルディスタンスの確保

人との間隔は緩和されてきてはいるものの,できるだけ2メートル(最低1メートル)空けることが望ましいとされています。感染が一旦収束した地域にあっても,学校は「3つの密」となりやすい場所であることには変わりなく,可能な限り身体的距離(ソーシャルディスタンス)を確保するようにしましょう。
 

ソーシャルディスタンスの一例

・教室の入り口と出口を分ける
・校舎の中でも間隔をあけて生活できるよう廊下を一方通行にする
・トイレなどに間隔をあけて並べるよう床にマークを貼る
 

給食は黙食で

給食は「誰かと一緒に食べる楽しさ」を感じられる時間でもありますが、残念ながら現在の給食では満足に実施することができません。
自席で前を向いて黙食する、というのが現状です。
自治体によっては黙食を見直し、大声で話さないことなどを条件とした段階的な緩和ではありますが、会話を解禁するところも出始めました。しかし学校内での集団感染の拡大には十分警戒しなければならず、全ての学校が正常化に向けて一歩を踏み出すにはまだ時間はかかりそうです。
現状しか知らない子どもたちにとってはこの状況は当たり前なのかもしれませんが、家庭内での食事の時間等コミュニケーションをとる時間を多くとれるようにするなど、学校では賄えない部分を各家庭でも配慮できるよう協力していくことが大切です。
 

 

学校と保護者の連絡手段のデジタル化

 
文部科学省は、令和2年に連絡手段のデジタル化を推進するよう全国の教育委員会に通知しました。迅速な情報共有や学校と保護者・生徒間双方の負担軽減が主な目的です。
これまで主流だったのは、プリントや連絡帳、電話によるいわゆるアナログな連絡手段でした。
そして、このコロナ禍の中、学校と保護者・生徒間での通常連絡や緊急情報など学校や教育委員会からのお知らせやアンケートを一斉配信するため、連絡網システムの導入を検討される動きが広まっています。
 
弊社のシステム「オクレンジャー連絡網」なら、
・児童・生徒の出欠席確認と体調管理
・臨時休校、学級(学年・学校)閉鎖、授業形態、行事日程の変更など緊急時のお知らせ
・新入児・新入生の入学準備説明会など一斉に学校に集まって行うことが難しい場合の案内
・学校評価等の一斉アンケート(匿名方式も可能)
・児童・生徒を通して配布していた紙のお便り等のファイル添付
・学級、学年、学校通信やスクールバスの時刻表
・学校行事の写真や動画の配信、閲覧
・災害時の安否確認
等様々なシーンで活用ができます。
 
教育現場では、一人一台のタブレット端末などコロナ禍をきっかけに急速にデジタル化が進んでいます。そして保護者や生徒との連絡も時代の流れの中で様変わりし、情報管理の重要性も高まっています。
こうした機能の活用を広げ、「連絡」に関する学校職員の業務負担の軽減や、保護者・生徒との利便性の向上につながるようお手伝いできれば幸いです。
 

まとめ

 
感染症対策においては一人一人の感染予防に関する基本的な行動(手洗い・マスクの着用・咳エチケット・消毒等)が自分の命を、家族を、大切な人を、社会を守ることにつながります。これらの対策は新型コロナウイルスだけでなく、大半の感染症予防に有効です。
そして、一番大切なのは、正しい情報を手に入れることです。情報があふれる現代社会では、デマが拡散することもあります。本当のところはどうなのか、厚生労働省などが発信する情報をこまめにチェックするようにしましょう。
また、感染症拡大防止への取り組み、学校教育活動の運用にあたっては、教職員の方々の様々なご尽力や工夫があって成り立っていることと思います。児童・生徒とその保護者、その他の学校関係者全員がこの認識を共有し、協力していくことが重要であると考えます。

記事監修

オクレンジャー連絡網

株式会社パスカルは法人向け安否確認システム「オクレンジャー」をご提供し、災害時の正確な安否確認と迅速な緊急連絡を実現しています。
システム開発における30年以上の実績と知見をもとに、使いやすく質の高いサービス提供を続け、140万人以上のお客様にご利用いただいております。
企業、教育機関、病院、官公庁など幅広い企業のBCP対策に貢献し、皆様の安全に貢献しております。

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